全ては犬の見ている夢だったらいいのに

毒家族の狂ったエピソードと現実的な家族終い

モンスター兄エピソード【叔父の葬儀】

叔父は母の姉の配偶者で、滅多に会うことはなかったが生前はよくしてくれた。

母が交通事故に遭った時、うちの家族では問題解決が複雑になることと、

既に兄の攻撃対象に私が加わり、家の中で家族だけになるのは危険だったので

叔母にお願いして叔父と一緒に付き添ってもらったこともある。

 

結果その時が最後になってしまって、きちんとしたお礼も言えず後悔した。

叔父は公平な心を持っていたように思うし、30代になっても結婚しない私に

他の親族と違って「結婚なんかしなくていいんだよ。仕事もしてるんだし

自由に生きたらいい」と言ってくれていた。

 

私は色々な想いが込み上げながら夫(当時は婚約者)に車で2時間ほどの

葬儀場に車で送ってもらい、葬儀に出席した。

到着すると両親と兄もいたが、兄のことは目に入れないようにし、

静かに叔父への感謝と弔いの気持ちに心をよせていた。

 

お焼香の時、もう一人の叔母が「〇〇ちゃん、手を繋いでくれる?」と言ったので

私は二人一組で並んでいたところに叔母と手を繋ぎながら並んだ。

叔母は一人で出席していて、足が悪いので手を繋いで支えて欲しかったようだ。

 

その後、椅子に座るまで一緒に付き添い、隣に座って食事を頂いた。

前には両親と兄が座っていたが、皆特に何も会話せず叔母と一言二言話しただけだ。

すると食べ終わるか終わらないかの時に、突然兄が立ち上がって

「お前ェェェェェェいい加減にしろよ!!!」

と怒鳴り始めた。

 

皆驚いて母は咄嗟に「座りなさい。やめて。」と言った後、私に向かって

「〇〇ちゃん何言ったの!?」と無言で驚いている私に向かって言った。

私は兄が病気だと思っていて、「あ」でも「い」でも言い返せば、それを燃料に

興奮することがわかっていたので、もちろん何も言っていない。

兄を見ることもしていない。

咄嗟に兄を庇い、私のせいにしようとする母のナイス連携プレー。

 

兄は興奮しながら「お前はクズだ。オラぁぁぁ!当てつけだろ?」

意味不明なことを言い出し、よく聞くと

「両親への当てつけで叔母さんと手を繋いだだろ?クズが!」

言っていた。

 

??????????

意味がわからない。叔母と手を繋いだことが当てつけ?なんの?

流石に親もポカンとしてる。

 

とにかく私がその場にいる限り、兄が興奮し続け周囲に迷惑がかかるので

私はすぐ席を立ってトイレに行った。

 

落ち着いてから部屋に戻ると、場は収まっていたようだが

兄はiPadをお盆のように手のひらに乗せながら一人でウロウロしていた。

 

私が部屋の隅で従姉妹の子どもとLINEの交換などをしてお喋りしていると

兄がiPadお盆をいじりながら突然やってきて

「証拠が見つからなかったがお前を許さない!」と興奮して言い捨てていった。

そりゃiPadに私が悪いという証拠はないだろうね……意味不明。

 

従姉妹の子どもが「怖い~」と言ったので「ごめんね。見ちゃだめ」と手で庇った。

従姉妹の子どもは成人しているが、突然怒鳴り込まれて怖かっただろう。可哀想に。

でも私にはどうすることもできないんだよ……

 

その後私はなるべく両親と兄から離れたが、火葬場からの帰りのマイクロバスでは

家族単位で座らなければいけなかったので、母と私、後ろに兄と父、という席で

座った。

 

誰も喋らないシーンとしたマイクロバスの中で、兄は無口な父に向かって

自分がいかに色々な国で仕事をしてきたかをペラペラと話まくっていた。

アメリカでは~フランスでは~とそれはそれはもう自慢げに、独演会のようだった。

父は「無」なのでたまに「うん」というだけで

バスの中は兄の自慢話が静かに響いていた。

 

兄のことを自慢に思っている母ですら「お兄ちゃん、いやね…恥ずかしいわ」と

私に小声で言ったほどだ。

私は心から「死ぬほどダサい」と思って他人事だった。

 

後に親戚から「葬儀中ずーっと〇〇ちゃんのことを睨んでたよ」と聞いた。

ずっと観察して私の失敗待ちをしてたんだろう。そして何もないので無理矢理

「両親への当てつけでわざと叔母と手を繋いだ」という意味不明な怒りの口実を

生み出したのかと思う。

無理矢理すぎる怒りの口実を作り出して、あれだけ興奮できることに感心してしまう。

 

しかし兄が学生時代、よくお小遣いを貰っていた叔父の葬儀で

私を睨むことに集中し大声で怒鳴り、自分はすごいんだぞ!という話を

火葬場からの帰りのバスで皆に強制的に聞かせるだなんて

亡くなった叔父もさぞかし呆れるだろう。

 

とにかく兄は哀れな狂人だし、それを咎めもしない両親もどうかしてる。

 

後日、葬儀中に騒ぎ立てた兄に怒っていた従姉妹は納骨式に兄だけ呼ばなかった。

そしてそのイラ立ちを私にぶつけ「あいつはクズ!」「一生許さない!」などと

散々兄の悪口を言った後「クズの妹もクズだからね!」と言い放った。

私は酷く傷ついたが、従姉妹の人の悪さには薄々気付いていたので適当に流した。

 

その後叔母から「娘が酷いこと言ったと思う。ごめんね」などのメールがきた。

 

あの時従姉妹の言葉は最愛の父親が亡くなった時だし、一応私の兄という人物が

やらかしたことなので飲み込んだが、いろいろわかった今なら言い返すかもね。

 

結局、みんな兄には直接言えないクレームを言いやすい私にぶちまける。

全く…知らんがな。


他人を攻撃せずにはいられない人 (PHP新書)